あご(トビウオ)

あご(トビウオ)




ストーリー

あごが落ちるほど美味しい、平戸が誇る名産品


平戸を代表する名産品「あご」。

九州北部から日本海側の地域で呼ばれている「トビウオ」の呼称です。“あごが落ちるほど美味しい、トビウオの顔を前から見るとあごが出ているように見える、食べるときにあごをよく使うから”などその名の由来はさまざま。

多くの島々と複雑な海岸線という、魚たちにとってはとても魅力的な地形の平戸は、対馬暖流の影響により数多くの魚種が獲れる海産物の宝庫。

なかでも「あご漁」の光景は、平戸の秋の風物詩となっています。

あご漁は、お盆が過ぎ、ひんやりとした北風が吹きはじめた9月頃から10月初旬の約1ヶ月半という短い期間で行われます。二艘の漁船が一定間隔で並びながら一枚の網を使い行われる「二艘曳き綱漁」は、家族総出でも行われる一大行事です。

青魚でありながらさっぱりした味で、しっかりとした旨みがあるのが特徴のあごは、刺身や塩干し、すり身などさまざまな調理方法で地元の人々に愛されています。

特に、串に刺して炭火で焼く「焼きあご」はそのまま食べるほか出汁としても使用され、上品で濃厚な味わいと高いアレンジ性が全国からの注目を集めました。九州では、お正月など縁起の良い日を象徴する食べ物でもあります。

「焼きあごの歴史は江戸時代から。当時の平戸藩主も食べていたことでしょう」
そう教えてくれたのは、創業74年の「有限会社 海産物のわたなべ」社長・渡邉さん。平戸で水産加工品の製造販売店として、第一線を走り続けています。



あごの魅力を100%引き出すために


「うちのあごは、うまかよ!」羽ばたくトビウオの絵が物語る通り、海産物のわたなべでは特に焼きあごの製造に力を注いでいます。

大陸棚が広がり、対馬海流が流れ込む玄界灘は世界有数の漁場です。そんな平戸近海で獲れるあごは、まさに新鮮そのもの。水揚げしたその日、鮮度を失わないようすぐに急速冷凍します。

伝統製法である炭火焼にオリジナルの製法を加えることで、あごの旨みや香ばしさといった魅力を最大限に引き出しています。



質の高い地元商品の証「長崎俵物」


長崎県水産加工流通課による「長崎俵物」という認定制度があります。現代の長崎を代表する逸品として、厳格な品質基準を満たした商品にのみ与えられる称号です。

17世紀末、元禄時代の長崎港は外国との貿易港として栄え、俵に詰めて海外に出荷した海産物が「俵物」として呼ばれたことに由来しています。

この認定委員会では、学職経験者、消費者、水産加工品や料理、流通といったさまざまなアプローチから厳しい審査が行われるため、認定は狭き門ですが、海産物のわたなべでは、数種類の商品が見事ノミネート。その中に「十割あごだし」も含まれています。

創業当初から貫いてきた素材へのこだわりと、徹底された品質管理。「あごの魅力を存分に引き出したい」。渡邉社長と従業員さんたちの努力が、きっとその味をより深いものにしてくれています。



特別な日、大切な人へのお料理に


焼きあごは、古くから平戸の名産として大切に受け継がれてきました。それを物語る記録として、江戸時代、平戸藩主・松浦静山の側室、蓮乗院(れんじょういん)の日記があります。
「1803年、干しあご、翌年には焼きあごが江戸藩邸に届いた」との記録が残されていることから、贈り物としても重宝されてきたことが分かります。

毎日食べる味噌汁から、雑炊、めでたいお正月のお雑煮まで、平戸の食事を豊かにしてくれる、郷土の味です。

さまざまなアレンジが楽しめるあごだし料理のおすすめを渡邉社長に伺うと、お雑煮がベストとのこと。あごだしそのものの香ばしさと上品な旨みに、野菜やお肉との出汁が合わさってより深みのある味わいになるのだとか。互いの風味の良さを出しあえる、とても円満な関係です。

新年を祝う、まあるい味に思わずにっこり。ふだんから特別な日まで、お食事をより特別なものにしてくれる平戸産のあご。ぜひ心ゆくまでご賞味ください。


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